【備忘録】Microsoft本社の社員に「労働」について聞いてみた件
【備忘録】
大学3年の秋。
いよいよ卒論のテーマを決めなければならない時期になってくる。
そこで僕は「労働」について書きたいと思い、卒論あるあるの海外と日本について比較をしようと考えた。
しかし、生まれてこの方海外に行ったのはインターン先の達成旅行のセブ島以外なく、海外の労働については知識はある程度あっても実態は・・・\(^o^)/
そこで、以前とあるキッカケでFacebookで友だちになっていただいたMicrosoft本社で働く日本人「石坂誠」さんに話を聞こうと思いMessengerを送ってみた。
石坂さんは日本生まれの日本育ち。日本の大学卒業後、NECで働いていた経験もあり、日系企業と外資系企業のどちらも分かるというスゴい人だ。
石坂さんと言えば、Youtuberとして有名なバイリンガールちかさんの動画にも出ていた。
正直かなりダメ元だった。
こんなビックな方が返信をしてくれるわけがない・・・。
僕:
「卒論で労働について書こうと思っているのですが、米国MicrosoftのWLBなどについてお伺いしても大丈夫でしょうか?(1流企業の人がこんな無名の1大学生相手してる暇なんか・・・)」
ピロン
石坂さん:「いいですよ、私なんかで良ければ」
ん?(・・;)
ん・・・?(・∀・`)
キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!
正直二度見した(笑)
そんなわけで、米国Microsoftの現役社員の仕事について聞いて思ったことを簡単に書き留めておこうと思う。
Microsoftって残業あるの?
この前に色々聞いていたのだが、今回は備忘録なので記録としてココらへんから。
単刀直入ではあるが、Microsoftってまず残業あるのかが気になった。
僕:
石坂さん、Microsoftって残業というのはあるのでしょうか?
石坂さん:
基本的にはありません。5時にはほとんどの社員が退社します。帰宅のために車が一番混むのは午後3時から5時です。
そもそも時間が決まっていないため、午後3時頃に子どもの迎えなどでいなくなる社員もいます。(YouTubeではMTG中にもいなくなるとも・・・)
・・・?
ちょっと意味がわからなかった。
5時に帰宅・・・?
そもそも5時に帰宅できる日本の企業ってほとんど聞いたことがない。
多くの日本の企業では残業をしている社員がいて、それが重なり過労死といった悲しい出来事が起こってしまったのは記憶に新しい。
超ホワイトな企業が仮にあったとして、3時に帰宅できる会社なんて初めて聞いた。
日本では後述する過程重視の文化がある。
それを逸脱することを日本人はあまり好まない。
結構協調を求められることが多い気がする。
掟や秩序を逸脱すると村八分を受けるような村社会だったことにも起因するのか・・・?ということも気になったので調べてみようと思う。
ただ残業がないっていいなとは思った。
そもそもMicrosoftは色々な所で仕事ができる
強烈だったのが、色々な所で仕事ができるというもの。
Microsoftでは自宅からアクセスできる仕事の範囲が広く、基本的にはどこからでも仕事ができるようだ。
だから早く帰宅しても、問題は無いのだろう。
プロジェクトにもよるようだが残業は基本無い。
しかし日本では、ほとんどの場合オフィスに出社しなければならない。
それが決まりだから。
多分思うに、
「会社にいないと働いているか分からないから。」
だろう。
僕はこのことについても聞いてみた。
僕:
自由すぎても、会社からしてみれば働いているかどうかが分からないじゃないですか?それでも疑ったりしないんですか?
石坂さん:
そもそも、Microsoftに入社してくる人のレベルはとても高めです。なので、働かない人はいないと思いますね。それからVision共感してVisionに対して働くので、心配ありません。
後、数ヶ月に1回上司と話したりする機会があり、そこで自分のアウトプット(結果やインパクト)について確認し、社員がその結果を出せていなかったら修正するか、コーチングをしてくれます。他の社員からもらえる360度評価などもあります。
結果が大事で、そこに至るプロセスに雁字搦めになるのはちょっと・・・。
結構ここは日本とアメリカの違いがよく出ているなと感じた。
結果を重視する海外とプロセスを大事にする日本。
日本では長く会社にいて働いたほうがいい!というような風潮は確かにある。
8時出社もこのプロセスのひとつなんだろうな。
電話応対新入社員がやるっていう風潮も同じ。
特に大層な理由はないけど、やりましょうってのが多い気がする。
それが会社の利益につながるかどうかは別として、新入社員は会社を知る上で必要なんだ!ってことなのか?
Microsoftの社員は途中で帰っても家で仕事をすることがあるようだ。
先程も述べたように、Microsoftの社員は幅広くシステムに色々な所からアクセスができる。
自宅、空港、カフェ、車で運転中や移動中、などなど。
セキュリティ面は当然解決しているのだろうからなせる技なのだろう。
落合陽一氏が述べるWork as Lifeに近いようなことをしているなぁとも感じた。
Visionは大切
それから大事だなと思ったのはVisionだ。
Visionとは会社だけでなく、自分が何を成したいか?というのも含まれる。
Visionに本気で共感しているからこそ、それに向けて社員が全力で動くという企業としての理想形をMicrosoftは体現しているのだろうなぁと感じた。
果たして今の日本に自分の未来を描くことができる若者ってどれだけいるのだろうかなと思った。かくいう僕もそこまで未来が描けないのが悔しくてたまらない。
こうであったらいいなという社会がぼんやりと浮かぶだけだ。
ただ、大事なのは結果。
このぼんやりとしたイメージに対してどうアプローチするかなんて考えても時間の無駄なんだろう。
動いていこう。
飲み会はナシ!?チームの結束力への予算とは?
コミュニケーションも違いがありそうだ。
日本では飲み会などといった場を設けて、飲みニケーションというもので社員の協調性を重視する。
最近若者の間では飲みニケーションを嫌がるのをよく見かけるが、そういったのはあるのか聞いてみた。
石坂さん:
日本と海外のギャップで言えば、事業部ごとといった飲み会もありません。
僕:
まぁあんまり想像はつかないですけど・・・
石坂さん:
はい。でもチームの結束力を高めるためのお金は渡されます。そのお金を使ってランチに行ったりとか、金曜日の午後にカフェで集まるとかしていますね。
なるほど、面白い。
日本ではよく一般社員が3千円で上司が8千円とか支払うような、全体の飲み会がよく開催される。
ただMicrosoftでは違うようで、チームごとに結束力を高める目的のお金が振り分けられ、そのお金を利用してランチに行きプロジェクトの話やプライベートの話をしたりするようだ。
一人一人の社員の裁量の大きさとは仕事だけでなく、こういったコミュニケーションのところも自由にさせて生産的に社員を動かしている。
プライベートまで話せるチームになることで、仕事に対する姿勢もやはり当然ながら違ってくるはずだ。
家族との時間は大切。
石坂さん:
飲み会もないですし、土日も基本的には仕事はしません。金曜の午後とかなんか皆MTGとか絶対にいれないです。
平日の夜はスケジュールが入っていないので、シアトル留学中の日本人学生さん向けにボランティアでワークショップや、キャリアイベントなどを楽しくやっています。彼らの成長を支援するのが楽しいですし、彼らの成長を見て一緒に喜ぶのが楽しいです。
当たり前のことだが、家族の時間はとても大切のようだ。
飲み会も無いし残業もない。
金曜の午後にMTGを入れようものなら白い目で見られるらしい。
土日が迫っているのに、早く帰らせろ・・・ってことなのだろうか。
日本も月末の金曜日はプレミアムフライデーというものが設けられて、早く帰宅することが奨励されている。
早くとはどのくらいか?
”毎月月末の金曜日の終業時間を午後3時に早めるよう企業に呼びかける「プレミアムフライデー」”
うーん。機能してないですね。
日本も早く帰宅できれば、家族との時間が増えるはずだし、独身でも自分の時間をもつことができるためより生産的な人が生まれるのではないかと思う。
日本の男性の家事の時間とかも比較していきたい。
トップが伝え動かすMicrosoft
MicrosoftではトップからのVision共有が伝わる環境が整っていると石坂さんはおっしゃっていた。
石坂さん:外資特有だからかわかりませんが、MicrosoftはトップダウンでVisionを見せるのがうまいですね。年に1度Microsoftの社員が数万人単位で集まって、トップからVisionを共有されるんです。
スライドを読むのではなく、自分の言葉でトップが語るんです。
僕:数万人も!?
石坂さん:はい。あとは著名なアーティストも来て盛り上げてくれます。例えばMaroon5とか最近ではブルーノ・マーズとか。「Microsoft頑張ろーぜ!」のような。
僕:すごいですね・・・。
やはりVisionというのはとても大切だ。
これは日系企業でも外資系企業でも同じで、このVisionをもとに働いているのはどちらも同じである。
Microsoftの場合は全体で集まって、その団結力のようなものを高めるようである。
調べてみるとこれは「Microsoft Ready」というらしく、今年2018年もすでに開催したようだ。
1週間かけてこのパートナーや社員向けへのVision戦略共有は行われるようで、ブルーノ・マーズが来たのが今年のMicrosoft Readyなのだそうだ。
目的と手段がごっちゃになってる日本
石坂さん:全部がそうではないですが、日本の労働のイメージとしては目的と手段がごっちゃになってるケースを見ますね。
石坂さんと話をしていく上で、日本のイメージも聞くことができた。
確かに、日本では先も述べたように残業することが美徳という文化が未だに残っている部分もある。
残業というのは終わらせなければならない仕事を終えるためにするもので、決して残ればいいってもんでもない。
働き方改革も「一億総活躍社会」を実現するための労働改革なはずなのに、働き方改革を達成するための社内制度を整備していたりする会社もあったり・・・。
ここらへんも、なにか日本特有の文化があるのでは・・・と考える。
キリスト教的「労働観」ってある?
少し気になったのが、一個あったので最後にきいてみた。
僕:
キリスト教って労働は原罪への贖いといった意味を持っていたと思うのですが、そこらへんってアメリカは持っているんですか?
石坂さん:
それはカトリックの考え方ですね。私はプロテスタント系なので、そういった考え方は無いですね。
ちなみに私が信じて行っている教会は、末日聖徒イエス・キリスト教会です。職業は自分自身が成長するファクターとして働いています。
まぁ、そうか・・・
確かにアメリカはピューリタン(ピルグリムファーザーズ)が渡った国で、プロテスタント系だし労働は天命だからそういったのはあまりないか・・・と再確認できてよかった。
ただ、贖罪という考え方に関しては形骸化しているような印象も受けた。
さいごに。
備忘録なので、いいも悪いもつけるつもりはないが、どうしても対比の部分で批判的になったところもあったかもしれない。ご了承を。
最後に、石坂誠さん貴重なお時間大変ありがとうございました。
海外で働く人の生の声が聞けて本当に良かったです。